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人生交響曲

TRPG中心に好き勝手だべる主婦の徒然日記。

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花の国の呪われし者達 -ニークライト編・3-

過去捏造しまくりでつ。
ニークライト編は今回でラストですよ。
皆こうやって大人の仲間入りをするんでs(ぇ



「・・・。」

 目を開ける。
 夜明けが近いのか、周囲は僅かに薄明るい。
 硬い岩盤ではなく、木目の天井にほっとした。

 まだ胸の辺りがドキドキしていた。

 どんな夢だったのか思い出そうとするが、よく思い出せない。
 銀色の狼に噛まれた事と、ジョンがいたような気がするが、あとは霧の奥深くに隠れたかのように、思い出せなかった。

 汗びっしょりで、喉もカラカラであった。
 ゆっくりと体を起こせば、ベッドから抜け出す。
 下段は整えられたままであり、ハイジは昨夜はここに泊まらなかったらしかった。
 水が飲みに厨房に向かえば、アージェが既に起き出して客の朝食の準備をしていた。

「おはよう、アージェ姉ちゃん」

「あ、おはよう。ニーク君も今朝は早いんだね」

 弟達はまだ夢の中であり、父も昨夜は飲み過ぎたのか、今朝はまだおきてこない。

「兄ちゃん、知らない?」
「ハイジ君なら、もう山に帰っちゃったのよ」

 お弁当まだできてなかったのになと言いながら、アージェは手を休めない。
 どういう事なんだろうかと考えるが、どうにも頭がはっきりとしない。

「もう起きてたの?」

「うん、私が起きる少し前に起きてたみたいよ」

 だとすれば、昨夜はどこで眠ったのか。
 はっきりとしない頭で考えていると、目の前に温かなお茶が置かれていた。

「ありがと!」

 この季節は、まだ早朝は冷える。
 温かなお茶で、手と体を温めた。
 夢の事を、話すべきか。
 お茶を飲みながら考えていた。



 結局、ニークライトもまた夜が明ける頃には旅籠を出て、山に向かっていた。
 手にはアージェが持たせてくれた2人分の焼きたてのパン。
 ハイジが仕事で山に入る前に、夢の事を相談するつもりであった。
 山小屋は静かであったが勝手知ったるもので、ニークライトは中に入る。
 ハイジは、奥の小さな部屋の寝室で寝ていた。
 が、どこかいつもと様子が違う気がした。

「兄ちゃん、もう寝た?」

「・・・」

 そっと声を掛けると寝入りばなであったのか、うっすらと目を開けた。

「起こしちゃった?」

「見りゃわかるだろ」

 幾分機嫌が悪い。
 ゆっくりと体を起こすと、睨みつけてきた。
 普段は寝起きも悪くないし、突然の訪問も慣れているのか、しょうがないなといった様子を見せるだけである。

「寝てないの?」

「あんまりな」

 生欠伸を繰り返すハイジは肌寒さを覚えて、椅子に無造作にかけていたシャツを被る。
 ふわりと一瞬花の匂いがしたような気がした。

「昨夜何してたの?」

「・・・」

 一瞬ハイジの顔が強張るが、ニークライトは気付かない。

「お前には関係ない」

「なんだよ、それ」

「ガキには関係ないって事だよ」

「僕だってもう大人だよ!」

「大人の男は、僕なんて言わねぇよ」

 突き放すような言い草に、むぅっとふくれっ面をしてしまう。

「そりゃ、いきなり来て悪かったけどさ」

「・・・」

 ハイジも言い過ぎたと思ったのか、大きく息を吐く。

「ほんとに昨夜は寝てねぇんだよ」

「ずっと外にいたわけ?」

「いや、そうじゃないんだけどな・・・ニーク、お前アージェに何か言ってないだろうな」

「アージェ姉ちゃんは何も言ってなかったよ」

「・・・そうか」

 バツの悪そうな表情を浮かべたまま、ハイジもまた考え込んでいる。
 ニークライトも常とは違う兄貴分の様子に、何かを感じ取る。
 出直すべきか考える。

「とりあえず、もう少し寝かせてくれ。話しならそれから聞くからよ」

「うん、ごめんな兄ちゃん」

「いいよ、もう。お前も上で寝ろ。あんまり寝てねぇんだろ」

「うん、そうするよ」

 返事は返って来ない。
 すでに規則正しい寝息を立てていた。

「  俺、も寝よう・・・かな」

 急に眠くなってくる。
 屋根裏に上がり込む。
 そこは、ハイジが幼い頃に使っていた部屋であり。
 干し草の中に潜り込めば、ニークライトもまたそのまま眠ってしまっていた。


「確かに、妙な夢だよな」

「兄ちゃんもそう思うだろ」

 お昼近くに起き出した2人は、遅い朝食兼早目の昼食をとりながら、話をしていた。

「にしても、狼か。俺だって山奥でみたことがあるくらいだな」

 この付近では、狼は人里までは来ない。
 狼信仰の事も、噂で聞いたことがあるくらいであった。

「お前さ、ガキの頃の事とか覚えてるか?」

「う~ん、この村に来た頃くらいなら」

「それよりも前だな。親の事とかだな」

「ぜーんぜん。兄ちゃんは?」

「覚えてる。親父とお袋と帝都で暮らしてた」

 思い出すかのように、視線は遥か東へと向けられている。

「兄ちゃんのお父さんとお母さんってどんな人?」

「冒険者で、親父は魔術師だった。お袋は・・・斧使いの戦士だった。顔なんかもうほとんど思い出せないのに、時々今でも夢に見る」

「どんな?」

「帰ってくるのを待っているんだ。ずっと1人で待っていて、やっと帰ってきたから扉を開けたら・・・そこには誰もいない。夢はいつもそこで終わる。実際、親父もお袋も帰ってこなかった」

 肩を竦めると、ハイジはパンを口に押し込む。
 
「ガキの頃は、いつか絶対に迎えに来てくれるってずっと信じてたよ。じいさんと暮らしはじめてからも2年くらいはな」

「ここに来ちゃったし、諦めたの?」

「いや、そうじゃない」

 苦し気な様子が少し消える。

「じいさんやアージェ達が良くしてくれたし、おまけにお前が毎日のようにここに来るもんだから忙しくてそれどころじゃなくなった」

 ニヤっと笑った様子は、いつも通りだった。

「なんだよ、それってぼ、、俺が邪魔してたみたいじゃないか」

「邪魔ばっかしてただろうが、毎日遊べ遊べってな」

 ハイジも本気で言っているわけではない証拠に笑っている。
 その姿に、ニークライトも安心する。
 いつも通りの兄ちゃんだと。

「で、なんで急に俺って言うようになったんだ?」

「別にぃ」

 ふいっと横を向いた弟分の姿に、ハイジは苦笑する。
 今朝の事が原因なのだろうとは簡単に察しがつくが、あえて何も言わなかった。



 どうしても気になるのであれば本人に聞いてみろよと言われたニークライトは、夕暮れの中家路へと急ぐ。
 村外れの小さな家に、ジョンと一緒に住んでいるのだ。

 ジョンは昔から村にいたわけではない。
 遺跡が発見された頃に村に住み着いた冒険者であったらしい。
 遺跡への道案内や荷物運びをする以外は積極的に誰かに関わるわけではなく、家族もおらず長い間1人で暮らしていたが、ある時何処かに出かけたかと思ったら、子どもを連れて帰ってきたのだ。

 その子どもがニークライトであったが、彼自身も何故この村に来たのか、それまでの間何をしていたのかさっぱり覚えていなかった。
 たったひとつの手掛かりといえるもの。
 村に来て程なく、別の村から来た行商人が幼い彼に恐れおののきながら、こう言ったのだ。

 呪われた双子の片割れがどうしてここにいる。

 双子は呪われた存在という古い慣習に縛られた村の長老達はこぞってニークライトを追い出そうとしたが、ハイジの祖父や旅籠屋夫婦の口添えもあり、なんとか村に住むことは許された。
 そしてあれから7年あまりの歳月が過ぎ去った。

 何故、自分は呪われているのか。
 ジョンは何故自分を育ててくれたのか、彼ならば何か知っている筈だ。
 やがて小屋が見えてくるが、灯りはついていない。
 胸騒ぎを覚えて、走り出す。
 扉には鍵が掛けられてはおらず、勢い良く入った室内には誰もいなかった。

「  ジョン?」

 声だけが虚しく響く。
 装備一式と共に、彼はいなくなっていた。

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