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人生交響曲

TRPG中心に好き勝手だべる主婦の徒然日記。

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花の国の呪われし者達 -旅立ち編・1-


やっとこさの最終章ですよ。
もう暫く、お付き合いくださいませm(__)m



 最初の春を告げる花が咲き、そこからは景色は一変する。
 真っ白であった山々も次第に色付き出す。
 一気に伸びる新緑の如く、ニークライトもまた成長していた。
 身体付きは細いが、気がつけば身長はアージェを超えており。
 力ではハイジには敵わなかったが、足の早さでは村でも1,2を争うくらいである。

 突然養い親であるジョンが失踪して1年が過ぎ、少年は幼馴染みの手伝いなどをして日々を逞しく生きていた。
 ポーターとして荷物運びができる程筋力があるわけでもなかったし、まして道案内というには経験も浅すぎた。
 この先、どうしようかという不安もあったが・・・今はまず日々を生きる事が先である。

 山道を軽やかに上がっていくと、前からすごい勢いでおりてくる人物を見かけた。

「あれ、あの子・・・」

 明らかに怒りのオーラを撒き散らかしながら山道をくだっているのは、村の娘ジルだ。
 今年の宵闇祭りの時以来ハイジの所へとよく現れているようであるが、まともに相手にされなかったのだろう。
 思わず繁みに隠れてやりすごす。

「っとに何考えてるのよ!」

 ジルは、村でも器量良しで知られている。
 だが気が強く、ニークライトも上から目線で見られる事が多々あり、正直苦手であった。
 完全に姿が見えなくなるのを待ってから、繁みから出る。

「おっかねぇ・・・」

 関われば、ろくな事にならないだろう。
 少し急ぎ足で、山道を駆け上がっていく。
 ハイジも今朝はまだ山の中には行っておらず、黙々と準備をしていた。

「兄ちゃん、おはよう!」

「おはよう」

 駆け寄ってきた少年に、ハイジは笑みを向ける。

「また、デートの誘い断ったんだね」

「都合も聞かずに一方的に言われても困るし、それ以前になんで・・・」

「付き合ってるんじゃないの?」

「そんなつもりはない」

「ジルは、村ではみんなにそう言ってたらしいけど」

「・・・」

 もはや反論する気力も失せたのだろう。
 渋面のまま、作業に戻る。

「兄ちゃん、ほんとに女性が苦手なんだね」

「相手にもよるよ」

「あー、それはあるよね。アージェとは普通に喋ってるし、冒険者の女の人とも案外普通だよね」

「だろ?」

「でも、苦手なんだろ?」

 返事は返ってこない。
 元々、寡黙な青年だ。
 ニークライトも準備を手伝おうとして、ここに来た目的を思い出す。

「兄ちゃん、麓の街で魔神使いが処刑されたんだって」

「魔神使い?」

 聞き慣れない言葉に、ハイジも思わず手を止める。

「うーん、よくわかんないけどさ。魔神ってここでも前に出たんだよね。それもその犯人の仕業で、領地で悪いことばっかりしていて、この間とうとう捕まったって」

「そんな事あったよな」

 数年前の花祭りの際、遺跡より突然湧きだした魔神騒ぎを思い出す。
 他の冒険者が調べた結果、どうやら駆け出しの冒険者達では手に負えない遺跡であったらしく、他の者の仕業である事まではわかっていた。
 けれども、その後は結局は有耶無耶のままでもあった。

「でも、処刑されて一件落着ってやつだろ?」

「なーんかさ、それが違うみたいなんだ」

 積まれた丸太に腰を下ろしながら、ニークライトは村人たちの会話を思い返しているようであり。

「なんか、呪いをかけてやるーって叫んでから死んじゃったらしいよ?」

「マジかよ。。。」

「アージェの父ちゃん、調子悪かった時期もあったし。やっぱりそれのせいなのかなぁ」

「時期が違うだろ。親父さん、今は大丈夫そうだし」

「そういや、そうだったよね」

「ほら、行くぞ」

「今日はどこに行くの?」

 荷物を背負いながら山道を上がっていくハイジの後ろを、ニークライトも2人分の弁当が入った籠を背負ってついていく。

「ちょっと山を見て回る。冬の間手入れできなかった場所もけっこうあるしな」

 この周囲の山々を含めた街や村は、領主ユースティスが治めている。
 その山の幾つかをこの村で管理し、ハイジを含む樵達がそれぞれで分担して世話をしていた。

「奥の方にも行くの?」

「誰も行きたがらないしな」

 ハイジはため息をつく。
 豊かな森に覆われたこの山の奥には魔女が住んでいるとされており、特に月のない晩には決して外に出ないようにと、村の子どもなら誰も知っている伝承だ。
 ただ、決して悪い魔女ではないらしく。
 豊富なその知識で病に倒れた者を時には助けたりするらしが、気まぐれで恐ろしい存在だとも言われていた。
 
 ともあれ、2人で山の奥に入りながら木々の状況を見ていく。
 そこは、山の奥深くにしかない珍しい草花も豊富であり。
 適度に手入れされた森の奥は、鬱蒼としていて慣れぬ者にとっては危険極まりない場所でもあった。
 それでも、物珍しさもあってニークライトは旅籠に持って帰ろうと山菜なども籠に入れていくうちに、一人になってしまった事に気付く。

「あれ?ハイジ兄ちゃん?」

 静まり返った山奥の森の中は、静寂に包まれていた。
 つい先程まで近くにいた筈の兄貴分の姿はなく。

「    兄ちゃん?」

 暫くは、周囲を探しまわる。
 そして、見つけた。
 そこに残っていたのは、使い込まれた片手斧。
 ただそれだけであった。


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