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人生交響曲

TRPG中心に好き勝手だべる主婦の徒然日記。

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在りし日-2-

連続投稿ですよ。
お茶濁してないか?
はい、そのとおりでs


 来客のあった夜は、いつも賑やかだ。
 無論、普段も賑やかであるが、その夜は格別で。

 ティガ=タルナに仕え神殿長という役職に就いている母であるが、先代の神殿長がそうであったように、彼女も また随分と明るい性格だ。
 父曰く、史上最強の猫被りらしい。
 昔馴染みの来訪に、夜遅くまでお喋りに花を咲かせており。
 父親同士もまた、酒を酌み交わし情報交換に余念がないようであり。

 自然、子供同士が残されたわけであるが・・・。


「・・・。」

『・・・。』

 どうにも奇妙な沈黙が、キアディとレムの間を漂う。
 テーブルの上には、豪華ではなくとも新鮮な食材を使用した料理が並び、焼きたてのパンを口にしながら、少年は幼い少女の様子を横目で伺う。
 見れば飲み物のカップを手にしたまま、少女もまたこちらの様子を伺っていた。
 目が合った途端、俯いてしまう。
 自分よりも小さい子、まして女の子の扱いなどわかるわけがなく。
 もう寝てしまおうかと、少年が立ち上がりかけた時であった。

『キア、レムちゃんを寝室に案内してあげて』

 侍女たちもすでに自分の家に引き上げた事から、母はレムの母親と随分と飲んだ様子であり、父親同士もすっかり酔っ払っている。

「わかった。」

 息子が頷く様子に、母親同士はまたおしゃべりに興じる。
 仕方がないと溜息をつくも、キアディはレムを見た。
 もじもじとして俯いている様子に先に部屋を出る。

「こっち。」

 すたすたと馴れた様子で月明かり差し込む渡り廊下を歩いていく。
 寝室は別棟となっており、微かに届く波の音を聞きながら眠るには最適で。
 ついてきているかどうか気になって振り返ると、少女は周囲をきょろきょろとしながらも、必死についてきていた。

「ここ。」

 部屋の扉を開けてやり、中を示す。
 少し小さめの来客用の寝室。
 開け放たれた窓から差し込む月明かりが、寝台を照らしている。
 おそるおそる中に足を踏み入れて部屋を見回す様子を見下ろせば、自分もまた部屋でもう休む事にする。

「それじゃあ。」

 そのまま踵を返して、部屋を出る。
 が、
 くんっと引っ張られ、足が止まる。
 一瞬感じた息苦しさに、眉を寄せて振り返れば。

 俯いたまま、シャツの裾を掴んでいる白い小さな手。
 見れば、小刻みに震えていた。
 唇をかみ締めている様子に、漸く気がついた。

「こわいの?」

 少し経ってから、小さくこくりと頷かれて。

「大丈夫だよ、ここに悪い奴はこないよ。」

 だから放してほしいなと思いつつも、その言葉は口にできない。

『パパと・・・ママは?』

「まだ、話をしてる。」

『パパとママもここでねるの?』

「となりの部屋だって」

 途端にまた、泣き出しそうな気配。
 無理も無い。
 見知らぬ場所。
 見知らぬ者たち。
 はじめて過ごす場所で、たった一人で眠るのは怖いのだろう。
 気持ちは、わからないでもない。
 初めて島を出て、ルアーブルの宿でたった一人で眠った時、結局怖くてほとんど眠れなかったのだがら。(おかげで帰りの船で酔ってしまったし)

「・・・こっち。」

 おもむろに、少年は少女の手を掴む。
 すたすたと自分のペースで歩いて連れて行くのは、自分の部屋だ。
 部屋に招きいれれば、少女の目が丸くなる。

 作りかけの船の模型。
 散らばった本。
 窓の傍の寝台から見えるのは海。

「今夜だけだからな。」

 明日からあっちの部屋で寝ろよなとぶつくさ呟きながらも、寝台に潜り込む。
 持ち歩いていた灯りを消せば、少女に背を向けて目を閉じて波の音に耳を集中させる。

 程なくして、隣にごそごそと潜り込む気配。
 誰かと一緒に眠るのはいつぶりなのか。
 柔らかな感触とぬくもりと同時に、涼やかな香りが鼻腔に入り込む。

 やがて、規則正しい寝息が2つ。
 様子を見に来た両親たちは、目にしたその姿にそっと忍び笑いを浮かべていたのは言うまでのなかった。


 翌日から、少女__レムの両親はといえば、島での調査に忙殺される。
 時折、母親は船で島を出る時もあり。
 キアディの両親もまた、神殿での仕事に従事している。
 己の身の振り方を見定める時期にある少年もまた、午前中は勉強に様々な訓練にと費やされており。
 たった一人で過ごさなくてはならないレムを、島の者達で代わる代わる相手をしていた。


「おじさん、レムは?」

『浜にいないかい?』

「なんだか、寂しそうだったよ?」

『そうか・・・。なぁ、キアディ。』

「なに?」

『レムの友達になってくれるかい?あの子は同年代の友達がいなくてね・・・私が相手をするべきなんだが・・・』

「おじさんも、忙しそうだよね。」

『そうだね、ここには・・・調査できているという事もあるからね』

「なんの調査?」

『お母さんたちから聞いてないかな?この島の事を』

「知ってる、この島には海で死んだ人たちを慰める為に大事な物もたくさんあるって。ずーっと昔からこの島にあるって」

『おじさんは、それがどういう物かを調べるのが仕事なんだ。君のお母さんが特別にって許可してくれたんだよ。』

「いいよ、レムの相手はぼくがするから。おじさんは、仕事をやってなよ」

『悪いね、キアディ』

「いいよ、そのかわり・・・今度冒険の話を聞かせてよ」

『お安い御用さ』


 集落から外に出た少年は、少女を探す。
 彼女は、いた。
 たった一人で岩場にしゃがみこんで、海を見ているその姿に。
 幼い頃、遊ぶ術がわからず孤独だった自分を思い重ねる。

「一緒に遊ぼう。」

 近寄って、手を差し出す。
 戸惑うように見上げながら小首を傾げているその姿は、愛らしく。
 少年の胸は一瞬高鳴る。
 そしてもう一度、告げた。

「一緒に遊ぼう。」

 おずおずと差し出してきた手を握る。
 戸惑うように握り返す姿に、笑いかけた。
 
 守ってあげなきゃ。

 心の奥に芽生えた思いに気付かないままに。

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